【終わりたくても終わらない】

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お客様からのクレーム処理の極意は、「終わらせたいと思わない」ことである。怒って電話をかけてくるお客様に対して「早く終わらせたい」対応をすると、さらに火をつけることになる。道理である。クレームを入れてきたお客様本人に、「そろそろ終わりにしてやるかっ」と思わせることが大事というわけだ。激しい感情が表面にたったコミュニケーションにおいて、終わらせたい着地点を見据えた対応は、不人情を際だたせてしまう。行き場のない怒りや悲しみに対しては、終わりのない、底なしの受容が肝心なのだ。

 

それは、クレーム処理に限ったことではない。「早く終わりたい会議」に、ろくなものはない。「早く終わらせたいデート」が、いい関係であるはずがない。「早く終わってほしい映画」が、感動できるはずがない。「早く終わらせたいプレゼン」に、熱が入るはずがない。終点を想定したコミュニケーションは、そもそもやっても意味がない。

 

いい企画会議は、議題に対してそこそこの答えが見えたら、その周辺の余談が次々と繰り出され、時間も経つのも忘れてしまうものだ。終わりがない。誰も、終わらせたいと思っていない。その時間の共有が、次の企画へと活かされていく。終点のない発展を予感させるものだ。

 

企業の組織マネージメントにおいて、目標設定は大事だとは思うが、その目標を「終点」と想定するのは、間違っている。「みんなが終わらせたくない企業」とするための、終点のないコミュニケーションを維持できる受容が、マネージャークラスに備わっているかどうかが、ほんとに大事なことなのである。

 

嫁さんから、ときどき行き場のない怒りを受けることがある。その時は、終点を想定せず、ただ聞くことに徹している。器が大きいのか、気が小さいのか、もうわからない。来年には、銀婚式である。終わりたくても、終わらないのである。笑3

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